安否確認の返信が来なかったら、遺言書が勝手に開く仕組みを作った話

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去年の秋口に、ちょっと変わったシステムを作ってみたんだよね。

きっかけは取引先の社長が倒れたことだった。60代前半で、まだまだ元気だと思ってた人。朝、事務所で倒れて、そのまま意識が戻らなくて。会社のパスワードも、取引先のリストも、銀行口座の暗証番号も、全部その人の頭の中。残された社員たちは右往左往するしかなかった。葬儀が終わって三週間くらい経ってから、ようやく税理士と弁護士が入って整理し始めたんだけど、もうめちゃくちゃ。

僕も一人でやってる事業だから、他人事じゃないなって思ったわけ。

で、エンディングノートっていうのは昔からあるじゃん? 本屋に行けば「もしもの時のために」みたいな感じで売ってる。でもあれ、書いたはいいけど、どこにしまったか忘れるんだよね。実際うちの親父も書いてたらしいんだけど、どこにあるか誰も知らないっていう。意味ないでしょ、それ。

それと安否確認システムも昔からある。定期的にメールが来て「生きてますか?」って聞かれるやつ。返信しないと誰かに通知が行く仕組み。でもこの二つ、バラバラなんだよね。

僕が考えたのは、この二つを繋げちゃうことだった。

毎週月曜の朝9時に「元気?」ってメールが来る。スマホをポチッと押すだけで返信完了。それだけ。簡単でしょ。でも、もしこの返信が二週間来なかったら——つまり僕が入院してるとか、最悪の場合を想定して——自動的にエンディングノートが開封される。指定した人に、暗号化されてた情報が送られる仕組み。

会社の通帳がどこにあるか、取引先の連絡先、サーバーのパスワード、解約すべきサブスクのリスト。生命保険の証券番号とか、遺言書の保管場所とか。全部書いておける。で、普段は誰にも見られない。AES-256っていう、銀行でも使ってるレベルの暗号化で保存してる。

正直、最初は自分のために作ったんだけどね。

夏の終わりくらいに友達の社長何人かに話したら「それ、うちも使いたい」って言われて。特に40代後半から50代の経営者には刺さった。みんな、何かあったら困るって分かってるんだよね。でも、エンディングノートを書く時間もないし、書いたとしても更新が面倒くさい。

だからシステムにした。スマホでログインして、思いついたときにメモを追加できる。取引先が増えたら追加、銀行口座を変えたら更新。そういうのを、深夜でも移動中でもできるようにした。

ちなみに「二週間」っていう期間設定は変えられる。一週間でもいいし、一ヶ月でもいい。海外出張が多い人は長めに設定してるみたい。逆に持病がある人は短くしてる。

開封される相手も自分で決められる。奥さんでもいいし、経理担当者でもいいし、顧問税理士でもいい。複数人に別々の情報を送ることもできる。たとえば家族には個人的なことだけ、従業員には業務に関することだけ、みたいに。

あ、そういえばこの前、テスト送信機能を使ってみたんだけど、自分宛に送ったら妙な気分になった。自分が死んだ後に開かれるはずのメッセージを、生きてる自分が読むっていう。なんていうか、自分の葬式を覗き見してるみたいな感覚。ちょっと怖かったけど、ちゃんと動いてるのは確認できた。

情報の継承って、本当は生きてるうちにやっとくべきなんだよね。でも忙しいし、縁起でもないし、先延ばしにしがち。だから「安否確認」っていう、ちょっとライトな入り口から始められるようにした。毎週メールに返信するだけ。それだけで、もしもの時の準備ができてる状態になる。

取引先の社長が倒れたあの日、病院の待合室で、僕は何もできなかった。ただ座ってコーヒーを飲んでた。自販機のコーヒーって、なんであんなに薄いんだろうね。

あれから一年経って、そのシステムを使ってくれてる人が少しずつ増えてる。みんな、何も起きないことを願いながら、毎週返信してる。それでいいと思うんだよね。何も起きないのが一番だから。

でも、もし何かあったとき、残された人が少しでも楽になるなら。そのために暗号化された情報が、適切なタイミングで、適切な人に届くなら。

まあ、そういうの作ってみたよっていう話。使ってみたい人がいたら声かけて。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:アイブログ

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