朝5時の安否確認メールが、僕の遺言書になるまで

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最近、朝の5時に起きるようになった。別に健康志向とかじゃなくて、単純に年を取っただけかもしれない。

その時間に起きて最初にやることがある。スマホを開いて、安否確認のボタンを押すんだ。これ、うちが作ってるシステムなんだけど、押すとエンディングノートへのアクセス権が延長される仕組みになってる。押さないと、登録してある人に自動で情報が送られる。つまり、僕が何日か連続でボタンを押さなかったら、「あ、こいつ何かあったな」って判断されて、大事な情報が指定した人たちに届く。暗号化してあるデータが、解除されて相手に渡るわけ。

なんでこんなもの作ったかって話なんだけど、きっかけは完全に個人的な失敗だった。

三年前の秋、取引先の社長が突然亡くなった。60代前半で、めちゃくちゃ元気な人だったから本当に驚いた。で、その後が大変だったんだよね。会社の口座の暗証番号、サーバーの管理画面、取引先のリスト、全部その社長の頭の中にしかなかった。奥さんも息子さんも、パソコンのパスワードすら知らなくて。僕らも困ったし、何より残された家族が一番困ってた。葬儀が終わって一週間くらいして、息子さんから「すみません、父がどこと取引してたのか全然わからなくて...」って電話がかかってきたときの、あの申し訳なさそうな声。今でも忘れられない。

そういえば、その頃ちょうど近所にできたカフェ「ブルーノート珈琲」によく通ってたんだけど、そこのマスターも同じような話をしてたな。親父さんが残した店を継いだはいいけど、仕入れ先の連絡先がわからなくて最初の一ヶ月は地獄だったって。関係ない話だけど、あの店のカフェラテは本当に美味かった。今はもうないけど。

個人事業主とか中小企業の社長って、全部自分で抱え込んでるじゃん。僕もそうだし、周りを見てもみんなそう。でも、それって実は結構危険なことなんだよね。明日自分が事故に遭ったら、会社はどうなる?家族は何から手をつければいい?

だから作ったんだ、このシステム。毎朝の安否確認と、エンディングノートが連動してる。普段は暗号化されてて誰も見られない。でも、僕が何日か反応しなくなったら、自動的に情報が継承される。銀行口座の情報、取引先のリスト、サーバーの管理情報、全部。

技術的にはそんなに難しくない。でも、これを作るときに一番悩んだのは、「何日反応がなかったら送信するか」だった。二日だと短すぎる。旅行に行ってスマホ触らないこともあるし。一週間だと長すぎる。結局、三日に設定した。三日連続で反応がなかったら、たぶん本当に何かあったんだろうって。

朝5時にボタンを押すのが習慣になってから、不思議と生活のリズムが整った。早起きして、コーヒー入れて、ボタン押して、それからメールチェック。この順番が決まってる。

情報の暗号化には256ビットのAES暗号を使ってる。これ、アメリカ政府が機密情報の保護に使ってるのと同じレベル。専門用語を並べたいわけじゃないけど、預かってる情報の重要性を考えたら、このくらいやらないとダメだと思った。会社の口座情報とか、取引先との契約内容とか、漏れたら終わりだから。

使ってくれてる人の中に、70代の工務店の社長がいる。最初は「そんな難しいことできない」って言ってたんだけど、息子さんが設定を手伝って、今では毎朝ちゃんとボタン押してるらしい。先月会ったときに「これがあると安心して仕事できる」って言ってくれて、なんか嬉しかった。

別に大げさなことをしてるつもりはない。ただ、明日何があるかわからないのが人生で、それに対して少しだけ備えておく。それだけのこと。

朝5時の薄暗い部屋で、スマホの画面を見ながらボタンを押す。今日も無事に一日が始まる。このボタンを押し続けられるうちは、まだ大丈夫。押せなくなったときのために、システムがある...っていう感じ。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:アイブログ

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