深夜2時に気づいた、僕らが作ってるものの正体

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正直に言うと、最初は誰も本気じゃなかった。

安否確認システムにエンディングノートを連動させるって話が出たのは、たしか去年の夏だったと思う。オフィスのエアコンが壊れてて、扇風機の風が生ぬるくて、みんな半袖でだらだら会議してた。「もし何かあったとき、大事な情報ってどう引き継がれるんだろうね」って誰かが言い出して。その「何か」が具体的に何を指してるのか、誰も突っ込まなかったけど。

僕らが作ってるのは、言ってみれば「自動的に動く手紙」みたいなもの。定期的に安否確認の通知が届いて、それに反応がなかったら、事前に登録しておいた情報が指定した相手に届く仕組み。パスワードとか、取引先の連絡先とか、銀行口座とか。要するに「いざというとき困るやつ全部」を暗号化して保存しておける。

技術的にはそんなに難しくない。暗号化のアルゴリズムも枯れた技術だし、安否確認の仕組み自体は既存のサービスでもある。でも、この二つを組み合わせてる人って意外といなくて。

エンジニアの田中さん(仮名じゃなくて本当に田中さん)が言ってたんだけど、「情報の継承って、結局タイミングの問題なんですよ」って。早すぎても遅すぎてもダメ。本人が元気なうちに情報が漏れたら困るし、本当に必要になったときに届かなかったら意味がない。だから安否確認と連動させる必要があったんだって。

個人事業主の人とか、中小企業の社長さんって、頭の中に情報を抱え込みすぎてる気がする。僕の父親も小さな会社やってたから分かるんだけど、取引先との関係とか、独自のノウハウとか、全部「俺が覚えてるから大丈夫」みたいな感じで。でも、それって実はすごく危うい。

この前、友達と飲んでて全然関係ない話になったんだけど、昔のバンドの話になって。高校のときに組んでたバンドで、ボーカルの奴が急に転校することになって、曲のメロディとか歌詞とか、全部そいつの頭の中にしかなくて。結局バンドは空中分解した。あれと似てるなって思った。情報が一箇所に集中しすぎてると、その人がいなくなった瞬間に全部消える。

暗号化の話に戻ると、僕らが使ってるのはAES-256っていう方式で、まあ要するに「めちゃくちゃ強い鍵」をかけてるってこと。本人が登録するときに設定した条件が満たされない限り、誰も開けられない。僕らスタッフでさえ見られない仕組みになってる。

これ、最初はクレームになるかもって心配してた。「お前ら見られるんじゃないの?」って。でも逆に、見られないからこそ安心して預けられるって言ってくれる人が多くて。考えてみれば当たり前の話なんだけど、信頼って「見せない」ことで生まれる部分もあるんだなって。

深夜2時くらいにテストしてたときのこと。僕が自分のアカウントで試しに情報を登録してみたんだけど、なんか妙な気持ちになった。「もし明日自分が事故にあったら、この情報は誰に届くんだろう」って。登録してる相手の顔を思い浮かべながら、パスワードの一覧とか、未完成のプロジェクトのメモとか入力してて。

自動継承の仕組みって、言い換えれば「未来への信頼」なのかもしれない。今の自分が、未来の誰かを信じて情報を託すっていう。でも同時に「今の自分」も守られてる。勝手に情報が漏れることはないから。

実際に使ってくれてる社長さんから聞いた話だと、「これ作ってから気が楽になった」って。別に死ぬつもりはないけど、もし何かあっても会社が回る準備ができてるって思えるだけで、日々の仕事に集中できるようになったらしい。保険みたいなものかもしれない。使わないのが一番いいんだけど、あると安心する、みたいな。

僕らが作ってるのは、結局のところ「安心を売る」商売なのかもしれないし、「時間を繋ぐ」仕事なのかもしれない。正直、まだよく分かってない部分もある。ただ、必要としてくれる人がいて、それで少しでも楽になってくれるなら、それでいいのかなって。

エアコンは結局、秋になるまで直らなかったけど。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:アイブログ

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