深夜2時のパニックから生まれた、変なシステムの話

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去年の夏、取引先の社長が突然倒れた。

僕が知ったのは三日後で、その間ずっと「あの件どうなってるんだろう」って思いながら連絡を待ってた。結局、その社長の奥さんから電話があって、入院中だって聞いて。で、その時に言われたんだよね。「パソコンのパスワードが分からなくて、取引先のリストも何も見られないんです」って。

正直、他人事じゃなかった。うちだって似たようなもんで、自分が明日いきなり動けなくなったら、クライアントの連絡先も、進行中の案件も、全部が宙に浮く。エクセルにまとめてるけど、そのファイルがどこにあるかなんて、多分誰も知らない。

それで作り始めたのが、今うちでやってる「安否確認連動型の情報継承システム」。名前は仰々しいけど、中身はめちゃくちゃシンプルで、要するに「定期的に生きてるか確認して、返事がなかったら自動で情報を開放する」っていう仕組み。エンディングノートみたいに「死んだらこれ見てね」じゃなくて、「返事がないから、たぶんヤバいっぽい。じゃあ開けるね」っていう、ちょっと失礼なくらいのスピード感。

最初はもっと真面目に作ろうとしてたんだけど、深夜2時くらいにコーヒー飲みながら設計してたら、なんか妙にテンション上がっちゃって。「これ、RPGのアイテム継承システムみたいじゃん」って思って、UIも少しゲームっぽくしてみたり。まあ、リリース前に冷静になって削ったけど。

情報は全部暗号化してる。ここはマジで譲れなかった。だって、生きてる間に誰かに勝手に見られたら最悪じゃん。取引先の裏事情とか、愚痴メモとか、絶対に見られたくないやつ。だから、本人が反応しなくなるまでは、誰も開けられない。たとえ家族でも、たとえシステムの管理者である僕でも。

ちなみに、このシステムのテスト中に一回だけ、自分で自分の安否確認に答え忘れて、アラートが家族に飛んだことがある。夜中に妻から「生きてる?」ってLINEが来て、「生きてるわ!」って返したら「じゃあちゃんと返信しなよ」って怒られた。システムは正常に動いてたんだけど、なんか複雑な気持ちになった。

で、何が面白いって、このシステムを使ってる人たちが、思った以上にいろんな情報を入れてくれてること。もちろん取引先リストとか銀行口座とかの「ちゃんとした情報」もあるんだけど、中には「隠してるお酒の場所」とか「実は嫌いな取引先ランキング」とか、そういうのも入ってるらしい。まあ、僕は見られないから推測だけど、ユーザーアンケートで「意外と何でも書けて楽しい」って書いてあって、ああ、そういう使い方もあるのかって。

個人事業主とか中小企業の社長って、全部を一人で抱えてることが多いと思う。従業員がいても、全体像を把握してるのは自分だけ。それって、普段は強みなんだけど、いざって時には弱点になる。

僕自身、このシステムを作る前は「まあ、何かあったらその時考えればいいや」って思ってた。でも、あの取引先の社長の件があってから、「その時」が来たら、もう考えられないんだよなって気づいた。だから、元気なうちに、ちゃんと準備しとく。それだけの話。

自動継承の仕組みは、正直まだ改良の余地がある。たとえば、安否確認の頻度をもっと柔軟に設定できるようにしたいとか、継承先を複数段階で設定できるようにしたいとか。あと、できれば「ちょっと入院しただけで全部開放されるのは困る」っていう声にも対応したい。そのへんは今、ゆるゆる作ってる。

結局、このシステムって「万が一」のためのものなんだけど、使ってる人たちの話を聞いてると、「万が一」を想定すること自体が、なんか安心につながってるみたい。「ちゃんと準備してある」っていう感覚が、日常の仕事にも余裕を生むっていうか。

まあ、使わないで済むのが一番なんだけどね。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:アイブログ

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