街の薬局から始まった、言葉の壁を越える小さな挑戦「YAKKANavi」

Uploaded Image

商店街の角にある小さな薬局の店主さんが、ある日困った顔で相談に来られました。「最近、外国の方がよく来られるんですが、どこの病院に行けばいいか聞かれても、英語も中国語もさっぱりで」。その言葉を聞いて、私たちは「これって、うちだけじゃないよね」と顔を見合わせました。

日本に住む外国人の数は年々増えています。観光客だけでなく、技能実習生として働く方、留学生、そして家族で移住してきた方々。彼らが急に体調を崩したとき、どこに行けばいいのか。言葉が通じる病院はどこにあるのか。そんな切実な悩みを抱えている方が、実は私たちの街にもたくさんいるんです。

大手企業なら専属の通訳を雇ったり、多言語対応のコールセンターを設置したりできるかもしれません。でも、私たち中小企業や個人事業主には、そんな予算も人員もありません。かといって、目の前で困っている人を見て見ぬふりはできない。そんなジレンマを抱えている経営者の方、きっと多いんじゃないでしょうか。

そこで私たちが考えたのが「YAKKANavi」というサービスです。名前の由来は「薬」と「案内」を掛け合わせたもの。シンプルですが、私たちのやりたいことが詰まっています。

仕組みはとてもシンプルです。スマホひとつあれば、誰でもすぐに使えます。アプリを開くと、現在地の周辺にある病院やクリニックが地図上に表示されます。ここまでなら普通の地図アプリと同じですが、YAKKANaviの特徴は、各医療施設で対応できる言語が一目でわかること。英語、中国語、韓国語、ベトナム語、ポルトガル語など、さまざまな言語に対応した施設を簡単に探せるんです。

開発のきっかけは、先ほどの薬局店主さんの相談だけではありませんでした。実は私自身、海外出張中に体調を崩して病院を探し回った経験があります。スマホで検索しても、どの病院が英語に対応しているのかわからない。タクシーの運転手さんに聞いても、うまく伝わらない。あの時の不安と孤独感は、今でも忘れられません。

「これ、日本に来ている外国の方も同じ気持ちなんだろうな」。そう思ったら、じっとしていられなくなりました。大きなシステムを作る資金力はないけれど、スマホで使える小さなツールなら作れるかもしれない。そんな思いから、YAKKANaviのプロジェクトが始まりました。

最初は本当に手探りでした。近所の病院やクリニックに一軒一軒電話をかけて、「英語が話せるスタッフはいますか」「中国語の通訳サービスは利用していますか」と聞いて回りました。中には「そんな情報、何に使うんだ」と怪訝な顔をされることもありましたが、趣旨を説明すると「それはいい取り組みだね」と協力してくださる方がほとんどでした。

データが集まり始めると、面白いことがわかってきました。意外な小さなクリニックが多言語対応していたり、大きな総合病院でも対応言語が限られていたり。また、医師本人は日本語しか話せなくても、看護師や受付スタッフに外国語が堪能な方がいるケースもありました。こうした「生きた情報」は、実際に足を運んで聞かなければわからないものでした。

YAKKANaviを使い始めた方からは、嬉しい声が届いています。「夜中に子どもが熱を出して、どこに連れて行けばいいか途方に暮れていたけれど、YAKKANaviで中国語対応の救急病院が見つかって助かった」という中国出身のお母さん。「従業員のベトナム人スタッフが怪我をした時、すぐに対応できる病院を探せて本当に良かった」という工場経営者の方。こうした声を聞くたびに、「作ってよかった」と心から思います。

私たちは大企業ではありません。潤沢な開発予算があるわけでも、何百人ものエンジニアがいるわけでもありません。でも、だからこそ気づけることがあります。街の小さな困りごと、声にならない不便さ、そして「あったらいいな」というささやかな願い。そういうものに耳を傾けて、できる範囲で形にしていく。それが私たちのスタイルです。

YAKKANaviはまだ完璧なサービスではありません。カバーできている地域も限られていますし、情報の更新も追いついていない部分があります。でも、使ってくださる方々と一緒に育てていけるサービスだと思っています。「うちの近所の病院も登録してほしい」「こんな機能があったらもっと便利」といったフィードバックをいただくたびに、サービスは少しずつ良くなっていきます。

もしあなたが、外国人のお客様や従業員を抱えて「言葉の壁」に悩んでいるなら、YAKKANaviのことを思い出してください。もしあなたが、地域の困りごとを「何とかしたいけど、どうしたらいいかわからない」と感じているなら、一緒に考えさせてください。私たちは、完璧なソリューションを提供できるわけではありませんが、一緒に悩んで、一緒に試行錯誤することはできます。

小さな一歩かもしれませんが、誰かの役に立てるなら、それは意味のある一歩です。YAKKANaviを通じて、私たちは言葉の壁を少しずつ低くしていきたいと思っています。そして、同じような想いを持つ方々と出会い、一緒に楽しみながら社会の小さな課題を解決していけたら、こんなに嬉しいことはありません。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:アイブログ

投稿者プロフィール

自動テスト

Follow me!