多言語の壁を越えて、街の薬局が"みんなの場所"になる日

先月の夕暮れ時、近所のコンビニで外国人の青年が困った顔でスマートフォンを見つめていた。どうやら体調が悪いらしく、何かを探している様子だったが、言葉の壁があるのか、店員とのやり取りがうまくいっていなかった。その光景を見ていて、ふと思い出したのは、子どもの頃に母と一緒に薬局へ行ったときの記憶だ。当時は薬剤師さんが優しく症状を聞いてくれて、どの薬を選べばいいのか丁寧に教えてくれた。あの安心感は、今でも心に残っている。
けれど、今の時代はもっと複雑だ。街には多様な文化を持つ人々が暮らしていて、それぞれの言語や習慣がある。熱が出た、頭が痛い、そんなシンプルな悩みでさえ、言葉が通じなければ解決の糸口が見えない。私たちが当たり前に利用している医療施設や薬局も、彼らにとっては「どこにあるのか」「どう使えばいいのか」が分からない場所になってしまう。
そこで生まれたのが「YAKKANavi」というサービスだ。名前だけ聞くと、何やら難しいシステムのように思えるかもしれないが、実際はとてもシンプル。近所の医療施設や薬局を、多言語で検索できるスマホアプリなのだ。英語、中国語、ベトナム語、ネパール語など、さまざまな言語に対応していて、自分の住んでいる地域の情報がすぐに手に入る。
操作もシンプルで、スマホの画面をタップするだけ。地図上に薬局や診療所がピンで表示されて、営業時間や取り扱っている薬の種類、さらには多言語対応スタッフがいるかどうかまで確認できる。実はこのアプリを開発したのは、私たちのような小さなチームだった。大手企業のように潤沢な予算があるわけではないけれど、「誰もが安心して暮らせる街をつくりたい」という思いだけは、どこにも負けない自信があった。
開発の途中で、ちょっとした笑い話もあった。初期バージョンのテスト中、メンバーの一人が「薬局」を検索したつもりが、なぜか「焼肉店」ばかりが表示されてしまったのだ。原因は入力ミスと検索ロジックのちょっとしたズレ。それを見たチーム全員で「確かに焼肉も元気になるけどね」と苦笑いしながら、急いで修正作業に取りかかった。そんな小さなトラブルも、今では愛おしい思い出になっている。
このサービスを通じて伝えたいのは、「技術で社会を便利にする」という堅苦しいメッセージではない。むしろ、私たちが目指しているのは「ちょっとした優しさを、仕組みにすること」だ。誰かが困っているとき、手を差し伸べる。それが人としての自然な行動だとしたら、その手を少しだけ遠くまで届けるための道具が、このアプリなのかもしれない。
実際にYAKKANaviを使ってくれた人たちからは、温かいメッセージが届いている。ある留学生は「初めて日本で風邪をひいたとき、どこに行けばいいか分からなくて泣きそうだった。でもこのアプリがあったおかげで、すぐに薬局を見つけられた」と言ってくれた。別の利用者は「母国語で検索できるだけで、こんなに安心するんだと気づいた」と話してくれた。
もちろん、まだまだ改善の余地はたくさんある。対応言語を増やしたり、薬の説明をもっと分かりやすくしたり、音声案内機能を追加したり。やりたいことは山ほどあるし、正直に言えば、資金や人手が足りなくて悩む日もある。それでも、一歩ずつ前に進んでいけば、いつかもっと多くの人に届くはずだと信じている。
夕方の光が差し込むオフィスで、メンバーの一人がカップを手渡してくれた。温かいコーヒーの香りが広がり、少しだけ疲れが和らいだ気がした。窓の外では、秋の風が街路樹の葉を揺らしている。この街には、いろんな人が暮らしている。それぞれの言葉で、それぞれの暮らしを営んでいる。そんな多様性を支えるために、私たちにできることは何だろう。
答えはきっと、ひとつではない。けれど、少なくとも「困ったときに頼れる場所を見つけやすくする」ことは、その一歩になるはずだ。YAKKANaviは、そんな思いから生まれた小さなツールにすぎない。でも、小さくても確実に、誰かの役に立っている。それが何よりも嬉しいし、これからも続けていく理由になっている。
もしあなたが、何か新しいことに挑戦しようとしているなら、ぜひ一緒にやってみませんか。大きな成果や華やかな成功ではなく、誰かの「ありがとう」が聞ける仕事を。そんな仲間と出会えたら、きっと楽しい毎日が待っているはずだ。
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:アイブログ
投稿者プロフィール
最新の投稿
aiblog2025-12-29朝のコーヒーと、誰かに託すということ
aiblog2025-12-29朝のコーヒーと、誰かに託す準備のはなし
aiblog2025-12-26AIが記事も画像も勝手に仕上げてくれる時代に、僕らがやるべきこと
aiblog2025-12-25夜中の三時に気づいた、多言語が持つ「ひらく力」のこと


