安否確認の返信が来なかったら、全部バラす仕組みを作った話

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「死んだら困る情報」って、みんなどうしてるんだろう。

私が最初にこれを真剣に考えたのは、確か3年前の夏だった。取引先の社長が急に倒れて、パスワードが分からず会社のサーバーに誰もアクセスできなくなったって話を聞いたときだ。その会社、結局復旧に3週間かかったらしい。社員は15人くらいの小さな会社だったけど、みんな途方に暮れてたって。

で、うちも似たようなもんじゃないかと思ったわけ。個人事業主だし、重要な情報は全部私の頭とスマホの中。取引先のリスト、サーバーの管理画面、銀行口座、クラウドサービスのログイン情報。これ、私が明日事故に遭ったら全部消えるんだよね。家族に「パソコン見て」って言っても、暗号化してあるファイルなんて開けるわけがない。

最初はエンディングノートを書こうとした。本屋で買ってきて、几帳面に書き始めたんだけど、3ページ目で挫折。だってさ、パスワードとか口座番号とか書いた紙を家に置いておくって、それはそれで怖くない?泥棒に入られたら終わりだし。かといってどこかに預けるのも変な話で。

そんなとき、ふと思いついたのが「安否確認と連動させる」っていうアイデアだった。

定期的に私に「生きてる?」って確認のメールが来る。それに返信しなかったら、あらかじめ登録しておいた情報が自動的に指定した人に送られる仕組み。シンプルだけど、これなら生きてる間は情報が守られて、いざというときだけ開示される。我ながら天才かと思った。深夜2時にビール飲みながら考えたアイデアだけど。

技術的にはそんなに難しくない。定期的にメールを送るプログラムなんて、今どき中学生でも作れる。問題は情報の保存方法だった。パスワードや口座情報をそのまま保存しておくわけにはいかないから、暗号化が必須。でも暗号化したら、受け取る側が開けないじゃんって話になる。

結局、私が返信しなかったときだけ復号化キーも一緒に送られる仕組みにした。平時は情報もキーも別々に暗号化されてて、誰も見られない。私が安否確認に応答しなくなったら、システムが自動的に両方を組み合わせて送信する。これなら安全性と利便性が両立できる。

実装してから気づいたんだけど、この仕組みって意外と使い道が広い。

例えば、取引先に渡したくない情報ってあるじゃん。でも万が一のときは引き継ぎが必要な情報。サーバーの管理パスワードとか、特定のクライアントとの契約内容とか。普段は秘密にしておきたいけど、私が倒れたら誰かが知らないと会社が回らなくなる。そういう「条件付きで開示したい情報」を預けられるようになった。

あと、これは完全に余談なんだけど、昔付き合ってた人に貸したままになってる3万円のことを思い出した。もう10年くらい前の話。返してもらえないまま別れて、今さら連絡するのも変だし、かといって忘れられるほど小さい金額でもない。微妙なライン。この仕組みに「私が死んだら請求してください」って登録しようかと一瞬考えたけど、さすがにやめた。死んでまで金の話するのもなんか違う気がして。

情報の継承って、考えれば考えるほど奥が深い。何を誰に渡すか、どのタイミングで渡すか。全部渡せばいいってもんでもないし、隠しすぎても困る。

うちのシステムは、情報ごとに送信先を変えられるようにしてある。銀行口座の情報は家族に、サーバーのパスワードは技術担当の友人に、取引先リストは後継者候補に。それぞれ必要な人に必要な情報だけが届く。全員に全部見せる必要はないから。

テストで一度だけ、わざと返信しないでみたことがある。金曜の夜に安否確認が来て、スルーした。土曜も日曜も無視。月曜の朝になると、システムが「本当に送りますよ」って最終確認のメールを送ってくる。それも無視したら、火曜日に情報が送信される設定にしてた。

月曜の昼過ぎ、友人から電話がかかってきた。「お前、死んだのか?」って。いや生きてるけど、って答えたら、「じゃあなんで最終確認メール来てんだよ」って怒られた。そっか、受信者側にも通知いくのか。そこは想定してなかった。慌てて返信して、事なきを得たけど。

このシステム、作ってから2年くらい経つ。今のところ順調に動いてる。毎週金曜の夜8時に確認メールが来て、私は「生きてます」って返信する。たまに飲み会で忘れそうになるけど、スマホにリマインダー設定してあるから大丈夫。

正直、使われないのが一番いい。このシステムが本当に稼働するときって、私がもうこの世にいないときだから。でも、それがあるってだけで安心感がある。何かあっても、ちゃんと情報は届く。取引先も家族も困らない。

中小企業の社長とか個人事業主って、みんな似たような悩み抱えてると思うんだよね。自分がいなくなったらどうなるんだろうって。でも、そういうの考えるの面倒くさいし、縁起でもないし、つい後回しにしちゃう。

私も最初はそうだった。でも一回作っちゃえば、あとは勝手に動いてくれる。考えることすら忘れられるくらい、自然に。

まあ、完璧なシステムではないけどね。たまに「これ、本当に動くのかな」って不安になることもある。でもテストするには死ななきゃいけないから、確認のしようがない。生きてる間は答え合わせできないシステムって、よく考えたら変な話だけど。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:アイブログ

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